「球磨時雨」俳句

俳句には

美しい日本語でしか表現できない

日本人の季節感、自然への畏れや憧れ

生活への愛情や美意識といった

日本人本来の心の在り方や感じ方が

長い年月をかけて、流れ込み、降り積もっています。

 

俳句には

大切なことを見失ってしまった現代の日本人に

もう一度、日本にとって大切なことや本来の生き方を

 思い起こさせてくれる力があるのではないでしょうか。

 

環境破壊や気候変動、生活スタイルや社会の価値観の変化から、

少しずつ消えかかっている「俳句の季語の世界」が残る、

しかし同様に、少しずつ消えかかっている球磨川流域の故郷から、

大切なことを見失ってしまった現代の日本の社会へ、

最後のメッセージを伝えていきたい。

 

「球磨時雨」俳句は、そんな思いを胸に

俳句の素人(私)が詠んだ俳句を紹介していきます。

 

企画のために詠んではみますが、全くの素人です。作品の内容と質についてはご容赦ください。「奥の菊道」企画にて、弊社主催の俳句コンテストの過去の入賞作品を、「緑川行燈」企画にて、多くの有名な俳人たちに詠まれた有名な俳句をご紹介していますので、そちらをご覧いただき、お耳直しください。

「奥の菊道」俳句企画:okunokikumichi.com

「緑川行燈」俳句企画:midorikawaandon.com

 

初時雨翁の影の浮かぶ道        緑川行燈

                            令和3年11月12日

 

年老ゐた母の横顔冬紅葉        令和3年11月13日

 

銀杏散る余命少なき日々の道      令和3年11月14日

 

過ぎ去りし日々に幕引く細雪      緑川行燈

                            令和3年12月1日

 

学ぶ子に未来を託し冬灯        令和3年12月8日

 

貧すれど一つの天命月冴ゆる      令和3年12月10日

 

人生の旅の終わりは枯野かな      令和3年12月11日

 

星たちの冬三日月に集う夜       令和3年12月21日

 

埋火や遠い昔の片思い         令和4年12月24日

 

妻と子と小さき借家の年用意      令和3年12月31日

 

貧なれど子等賑やかに年用意      令和3年12月31日

 

 

初七日の庭にも迷子の冬の蝶      緑川行燈

                          令和4年1月10日

  

風花や愛しき日々へ手を伸ばし     令和4年1月11日

 

凍蝶の春の夢見て転がれり       令和4年1月15日

 

大寒の夜に浄土は現れり        令和4年1月20日

 

 

白梅や煩悩も無し罪も無し       緑川行燈

                          令和4年2月8日

  

トンネルの出口の光春近し       令和4年2月20日

 

登校の子等かたまれり冴返り      令和4年2月25日

 

しはらゐのきげんせまれりさえかゑり  令和4年2月25日

 

ふと胸に懐かしき人春時雨       令和4年2月28日

 

 

思い出は思い出のまゝ朧月       緑川行燈

                          令和4年3月4日

 

登校の子は振り返らず木の芽時     令和4年3月10日

 

遥かより見守り給ふ彼岸かな      令和4年3月21日

 

足るを知り身の丈程に菫咲く      令和4年3月25日

 

春雨やあなたの香り残る部屋      令和4年3月30日

 

 

花は満ち言葉も音も時も消ゆ      緑川行燈

                          令和4年4月5日

 

過去未来この一杯に花見酒       令和4年4月5日

 

夜桜やその幽玄に血喜ぶ        令和4年4月6日 

 

花は満ち現世は浄土となりにけり    令和4年4月8日 

 

春燈や故郷の家父と母         令和4年4月20日

 

雅知る人でありたし藤の花       令和4年4月29日

 

たんぽゝのごとこの生を終わりたし   令和4年4月30日

 

 

丁寧な日々の暮らしに新茶かな     緑川行燈

                          令和4年5月2日

 

菖蒲湯に娘と浸りて幸願う         令和4年5月5日

 

若葉して光は姿現せり         令和4年5月15日

 

天命と腹をくゝれば風薫る       令和4年5月20日

 

 

紫陽花の如雨の日こそ慈悲の人     緑川行燈     

                          令和4年6月3日

 

目を閉じて日本を憂えば田植唄     令和4年6月6日

 

蛍火や虫等の鼓動息遣い        令和4年6月10日

 

五月雨に静かに暮らし時を待つ     令和4年6月15日

 

亡き妻と生きた日々あり明易し     令和4年6月21日

 

 

今日の日を過去の日とする梅酒かな   緑川行燈

                          令和4年7月1日

 

空蝉や我認知症進みけり        令和4年7月11日

 

風鈴の何かの啓示知らせをり      令和4年7月15日

 

黙々と生きている日に蝉時雨      令和4年7月23日

 

雲の峰背負う大地の前に一人      令和4年7月31日

 

 

朝顔の毎朝毎朝勤めをり        緑川行燈

                          令和4年8月8日

 

気がつけば今朝は聞こえぬ蝉の声    令和4年8月11日

 

墓参昔のように長話          令和4年8月14日

 

終戦日その声届かぬ国となり      令和4年8月15日

 

終戦日さらに貧しい国となり      令和4年8月15日

 

流灯や私もいつか共に流れむ      令和4年8月16日

 

この日まで生きてきた日々星月夜    令和4年8月23日

 

肩車の娘は静か揚花火         令和4年8月26日

 

手花火の娘の笑顔いつまでも      令和4年8月27日

 

 

盃の月呑み干せば我が世かな      緑川行燈

                          令和4年9月15日

 

過去未来この一杯に月見酒       令和4年9月15日

 

名月や現世は浄土となりにけり     令和4年9月15日

 

死に少し美しさあり彼岸花       令和4年9月23日

 

コスモスや若き日に見た夢の色     令和4年9月25日

 

悲しみは優しさとなり露時雨      令和4年9月29日

 

秋の灯の秋の短歌はさらに深し     令和4年9月30日

 

 

朝顔の朝の勤めを終ゑにけり      緑川行燈            

                          令和4年10月9日

 

秋晴やいつまでもどこまでも仰ぐ    令和4年10月10日

 

こうとしか生きれなかつた秋の暮    令和4年10月28日

 

がん転移これも人生秋深し       令和4年10月29日

 

晩年こそ美しき日々夕紅葉       令和4年10月30日

 

昨日より握力弱し秋時雨        令和4年10月31日