旅人よあなたを追つて球磨時雨     緑川行燈

                            令和4年11月12日

 

七五三の娘はバッタ掴みをり      令和4年11月15日

 

亡き妻の呼ぶ声がして帰り花      令和4年11月22日

 

寝てるよう綺麗なお顔散紅葉      令和4年11月25日

 

 

今はもう全て懐かし暮早し       緑川行燈

                          令和4年12月1日

 

幾度の試練の日々に冬の雨       令和4年12月8日

 

白銀はやがて黄金に冬の月       令和4年12月9日

 

忘却の彼方に浮かぶ枯野かな      令和4年12月12日

 

闇の月冬三日月を飾りをり       令和4年12月20日

 

柚子湯にも娘と浸かりて無事願ふ    令和4年12月22日

 

今年もまた小さき借家の年用意     令和4年12月31日

 

煩悩の泉は尽きず除夜の鐘       令和4年12月31日

 

 

人生に宝物あり春着の子        緑川行燈

                          令和5年1月1日

 

一回忌今年も迷子の冬の蝶       令和5年1月3日

 

順境も逆境も良し寒稽古        令和5年1月4日

 

凍蝶の春の夢見て這ゐにけり      令和5年1月15日

 

大寒の夜に浄土は現れり        令和5年1月20日

 

静かなる人の優しさ雪明かり      令和5年1月25日

 

浮世糸ようやく切れて天に凧      令和5年1月31日

 

 

薄氷の命と知りて真見ゆ        緑川行燈

                          令和5年2月2日

 

白梅や一隅照らし咲きにけり      令和5年2月4日

 

紅梅や抱つこの娘と息を吸う      令和5年2月19日

 

待ち合わせ駆け来るあなたに春時雨   令和5年2月22日

 

淡雪と知りつゝあなたに恋をして    令和5年2月25日

 

 

一山ごと息吹初めたる朝霞       緑川行燈

                          令和5年3月1日

 

命とは揺らぎなりけり朝霞       令和5年3月1日

 

朝霞草木禽獣虫人間          令和5年3月1日

 

引鶴や一羽一羽の故郷あり       令和5年3月5日

 

因縁の始まり終わり彼岸かな      令和5年3月18日

 

歌声の園児等引き連れ春の風         令和5年3月21日

 

自転車の娘に並ぶ春の風        令和5年3月21日

 

トイレから「パパーッ!」と呼ぶ声春の風  令和5年3月21日

 

春雨や優しい噓に涙こぼれる      令和5年3月25日

 

循環の命連綿木の芽時         令和5年3月30日

 

沿道の応援の如花菜咲く        令和5年3月31日

 

 

花満ちてタイムカードの遅くなり    緑川行燈

                          令和5年4月1日

 

夜桜や浄瑠璃世界に迷い込む      令和5年4月3日

 

花の雨一切空とはいふものゝ      令和5年4月5日

 

未練なく浮世を去りぬ花吹雪      令和5年4月8日

 

桜散るまた一年が始まりぬ       令和5年4月14日

 

ビル・エヴァンス ジャック・ダニエル 朧月 令和5年4月20日

 

たんぽゝを飛ばす娘もいずれどこかへ  令和5年4月30日

 

 

藤の花昼は優なり夜は艶なり      緑川行燈

                          令和5年5月1日

 

若葉して世界は光の乱舞かな        令和5年5月10日

 

天地の間一面の新緑              令和5年5月15日

 

新緑や命励ます力あり            令和5年5月20日

 

結婚の挨拶受けて風薫る              令和5年5月25日

 

 

花菖蒲動かぬ傘の女一人        緑川行燈

                          令和5年6月4日

 

時流れて多くの別れ蛍舞ふ          令和5年6月7日

 

紫陽花も奥の棚田も雨の中         令和5年6月10日

 

六月や蝦蟇蜘蛛蛞蝓蛇百足虫 人間    令和5年6月15日

 

短夜や気付けばあなたはいない朝      令和5年6月21日

 

ゆっくりと許し許され慈雨の空       令和5年6月30日

 

 

七夕や娘と繋ぐ縁起の手        緑川行燈

                          令和5年7月7日

 

朝顔や一日一生の輝き         令和5年7月11日

 

蝉の声一日一生の響き         令和5年7月11日

 

かぶりつくトマトに「今、生きている」 令和5年7月15日

 

向日葵も娘も青い空の中        令和5年7月20日

 

極みつゝ滅せば生ず蝉時雨       令和5年7月25日

 

朝焼や死に逝く者達昇りゆく      令和5年7月31日

 

 

青虫のもくもく密かに準備せり     緑川行燈

                          令和5年8月4日

 

「パパ来て!」と娘に呼ばれて天の川   令和5年8月8日

 

枝豆ぽつぽつ 思い出ぽつぽつ       令和5年8月10日

 

盆提灯おそらくあなたの選ぶ柄      令和5年8月13日

 

盆の月寄り添う影はあなたでしょう     令和5年8月15日

 

新涼の一瞬我に触れにけり         令和5年8月31日

 

 

「終活俳句」を始めてみませんか

弊社のご紹介している「終活俳句」とは、終活に関する内容を俳句にすることではなく、終活の一環として、シニアの方が人生の後半・晩年に、新しい趣味として、俳句の勉強を始めることです。「終活俳句」は、人生の最晩年をより豊かな穏やかな時間に導く、終活・趣味の1つだと考えています。

 

俳句は自由です。紙と鉛筆があれば出来ます。遠くに出かけなくても、身近の自然や季節のこと、日々のちょっとした出来事や過去という宝物を詠めます。体が不自由になっても、伴侶に先立たれて一人になっても、人生の最後まで、俳句は皆さんと共にあります。認知症予防にもいいそうですよ。

 

古語や旧仮名遣いや文法や類想類句や結社や入選や上手・下手など考えずに、自分の為だけに、「70の手習い・80の手習い・90の手習い・100の手習い」で、俳句と共にある生活・人生を始めてみませんか。

 

弊社では、全くの素人の方でも、郵便で気軽に参加できる「奥の菊道」俳句会を行っています。俳句を始めるきっかけにしてみてください。

okunokikumichi.com